ちょっと相談いいですか?

奥さんの認知機能低下が進んだ…?ー服薬支援への対応ー【青山さん編】

ケアマネジャーの解説

薬を正しく使用出来ていない状態は、病状を悪化させるだけでなく、副作用を招くおそれがあります。ご自身で薬の管理が難しい利用者さんや、介護者の方が薬の介助を行うのが困難になってきたら、早めの段階で薬剤師に相談しておくと良いでしょう。

薬剤師は薬の専門家なので、使用している薬に起こりうる副作用や、使用できなかった場合の対処法を教えてもらうことが出来ます。また、薬によっては管理方法や保管方法が異なるので、正しく取り扱えているかを薬剤師に確認すると良いでしょう。

青山さんはインスリン自己注射を奥さんに手伝ってもらっています。利用者さんがインスリンを自己注射出来なくなったとき、医師や看護師に手技を習ったご家族であれば、代わりにインスリン注射や血糖自己測定が出来ます。

介護職員はインスリン注射や、血糖測定の為の採血行為は出来ませんので注意しましょう。また、介護施設には看護師が常駐されているデイサービスやショートステイなどもありますが、たとえ看護師であっても医師の指示や指示書が無ければ医療行為はできません。

もし施設の看護師にインスリン注射の対応をしてもらいたい場合には、事前に医師の指示書が必要ですが、医師の指示があっても対応してもらえる施設とそうでない施設があるので事前に確認しておきましょう。

医師の指示を受けた訪問看護師によるインスリン注射も可能ですが、土日祝日なども対応してもらえるか事前に確認が必要です。社会資源が十分に整わない場合には、内服薬に切り替えて血糖コントロールすることになるかもしれません。医師、薬剤師とインスリン注射の必要性について相談してみましょう。

薬剤師の居宅訪問

薬剤師は薬局や病院の中で働いているイメージが強いですが、居宅を訪問してもらうことも出来ます。

介護保険を利用して居宅を訪問する介護サービスを居宅療養管理指導といいます。

居宅療養管理指導は介護保険のサービスですが、介護保険の給付外ですので、単位数に抵触することがありません。「単位数が溢れそうだから利用出来ない」といった心配が必要ありません。

介護保険適用となり、1割負担であれば薬代とは別に1回の訪問に約350~500円ほど費用負担が必要です(居住形態によって金額が異なります)。

薬剤師が訪問して行うことは、服薬管理、服薬確認、副作用の確認、効果の確認、重複薬の確認、バイタルチェック、残薬整理など様々です。自宅に訪問してくれるので、薬の管理に適した場所を教えてもらったり、飲み込みの機能をみてもらったり、市販薬との飲み合わせなども確認してもらうことができます。

また、薬の専門家に生活環境をみてもらうことで、その人の生活スタイルに合った薬を医師に提案してもらうこともできます。これを処方提案といいます。薬剤師は様々な種類の薬を扱っているので、様々な薬の中から適していると思う薬を医師に打診することが出来ます。

たとえば毎日薬を飲むことが難しいような人は、月1回の服用で同等の効果を示す薬に変更してもらうなどといった処方提案をすることが出来ます。薬剤師に訪問してもらい、生活を見てもらうことで出来る支援ですね。

訪問看護の関わり

インスリンの注射は医療行為になるので、訪問介護のヘルパーは行うことが出来ません。もしご家族でも難しいとなれば、訪問看護師に頼むことが出来ます。

訪問看護師は医師の指示の下、医療行為を実施することが出来るので、依頼する時には必ず医師から訪問看護指示書を交付してもらいましょう。

一つ注意していただきたいのは、介護保険で訪問する場合と、医療保険で訪問する場合の2パターンあるということです。その利用者様の年齢や疾患によってどちらが適用となるか異なるので、最初に確認しておく必要があります。介護保険を利用する場合には、単位オーバーにならないよう注意しましょう。

 

【執筆者】
吉松美津代(NPO法人千葉西地域包括多職種の会 代表・主任介護支援専門員・薬剤師・社会福祉士)
雜賀匡史(さいがケアファルマ合同会社 代表・薬剤師・介護支援専門員)

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更新日:2022年4月1日

投稿日 : 2022.04.01