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奥さんの認知機能低下が進んだ…?ーその他の対応ー【青山さん編】

認知症カフェ運営者・認知症介護経験者のコメント

これまで妻が夫の自己注射を打ち、カロリーを考慮した食事を作ってきました。
このような事例では、夫は妻が自己注射を忘れたり、食事が満足に作れなくなってきていることに苛立ち、妻への暴言が増え、それに伴い妻の不満も増えてきます。

お二人はこれまで、子供や周囲に迷惑をかけないよう、お互いに助け合いながら暮らしてきたのだと思います。
妻は自分の物忘れに少しは気が付き、わからないことが増え不安に思いながらも、これまで通り夫を助けていかなければとの気持ちから頑張っているのでしょう。
夫は、これまできちんと自分の世話や家事を行ってきた妻ができなくなってきたことに戸惑い、今後の生活に不安を感じているため、妻にしっかりしてほしいとの思いから暴言が増えているのでしょう。
また妻が認知症であることに気が付かれてない可能性もあります。妻が認知症と診断され、そのために出来ないことが増えているのだと夫の理解が進めば行動も変わってくるでしょう。
認知症の人にとっても、介護者にとっても、大切なのは安心して暮らせる環境を作り、気持ちに余裕を持ってもらうことです。

まずは、これまで誰にも迷惑をかけないよう暮らしてきたことをねぎらい、お二人の話をじっくり聞き、困っていることや不安なことなどを話してもらえる関係づくりから始めましょう。
また、同じ立場の人たちと話すことで、気持ちの余裕が生まれます。認知症カフェや認知症の人と家族の会などが行う集まりなどへの参加を勧めるのも良いでしょう。

認知症はゆっくりと確実に進行していきます。早い段階から支援してくれる人たちと顔なじみの関係を作っていくことも考えていきましょう。
相談や支援の窓口としては下記のような所があります。市町村によって違いますので探してみましょう。

  1. 地域包括支援センター
  2. 認知症疾患医療センターの相談窓口
  3. 保健福祉センター
  4. 認知症の人と家族の会
  5. 認知症コールセンター
  6. 認知症カフェ
  7. 地域の家族の会や介護者の会 など

また、市役所等に「認知症ケアパス」という認知症の症状や相談先、利用できる制度などをまとめた冊子が置いてあります。市役所のホームページからもダウンロードできます。
認知症は早めに受診した方が、早期発見・早期治療につながるというのが一般的な考え方です。周囲が認知症を理解し適切な対応ができれば早急に受診する必要はないと思いますが、この事例の場合、夫の暴言などを考慮すると早めに受診につなげた方がよいでしょう。

認知症の疑いがある場合、病院へ行きたがらない人は少なくありません。物忘れ外来などの専門外来を受診するのは抵抗感が強いでしょう。また物忘れで病院へ行く必要性を理解できていない場合もあります。むりやり連れていくのではなく、以下のようなアプローチを試してみましょう。

  1. 物忘れで受診するのは一般的なことだと話してみる
  2. 抵抗を示すようであれば、病院へ行きたくない理由を聞いてみる
  3. 夫の通院時に一緒に診てもらう
  4. かかりつけ医や友人など家族以外から、受診を勧めてもらう
  5. 夫の世話で疲れているようだから健康診断を兼ねてと受診を勧める

認知症初期の場合、日によって症状にばらつきがあるので、診察に同行する家族に、日々の生活の中で、認知症と疑われる出来事などをメモしておき、受診時に医師に伝えるよう話しましょう。

認知症と確定診断されたあと、ご本人が絶望感を持つ場合があります。認知症と診断されても、すぐに何もできなくなるわけではないこと、さまざまな工夫をすれば、これまでどおり夫婦で暮らしていけることなどを伝え、安心していただきましょう。

 

【執筆者】
前澤弘子(認知症わかり合いの会「和みかふぇ」 認知症サポーター キャラバン・メイト)

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更新日:2022年4月1日

投稿日 : 2022.04.01