ケアマネジャーの解説
訪問介護、訪問看護、訪問リハビリといった訪問系サービスや、通所介護、通所リハビリといった通所系サービスには、サービス提供時間が設けられています。
サービスを提供する始めと終わりの時間が明確に決められており、それ以外の時間に自由気ままにサービスを提供することは出来ません。
しかし、ケアマネジャーの仕事にはサービス提供時間というものがありません。居宅介護支援事業所の営業時間はあるものの、休日夜間関係なく携帯が鳴ることもあると思います。
また、ケアマネジャーの仕事は提供時間に応じて報酬が変動することもありませんし、自費サービスといった概念もありません。このような中で課題となっているのが、ケアマネジャーのボランティア業務です。
ケアマネジャーは本来のケアマネ業務以外の内容や、介護保険に関わらない内容についても相談を受けることが多いため、他に誰も頼る人がいなければケアマネジャー自身が動いて解決してしまうといったことが行われています。
たとえば公共機関や金融機関への手続き代行、通院介助、入退院時の手続き代行、薬の管理、日用品の買い物、公共料金の支払いなど、挙げればきりがありません。独居高齢者や認知症の高齢者が増えたことも、ケアマネジャーのボランティア業務が増えた要因となっています。
このような業務外のボランティアで仕事をしてくれているケアマネジャーがいることで、この社会が成り立っていると言っても過言ではありません。
とはいえ、業務外のボランティア量が増えてしまうと、本来のケアマネジメント業務に支障をきたすばかりか、良かれと思って行動したことがきっかけで事故につながった場合、その責任問題は行動したケアマネジャー自身と居宅介護支援事業所に降りかかってきます。
自身の行動に責任をもち、責任の及ぶ範囲で仕事を提供するという意識を持って行動することは大切です。
利用できそうな社会資源が見当たらないとき、ケアマネジャー自身が動いてしまうのが最もスピーディーで簡単なことですが、長く安全にケアマネジメント業務を提供するためには、外堀から埋めていくことを考えていきましょう。行政や地域包括支援センターなど、相談できる場所が近くにあるはずです。一人で抱え込まず、周囲の意見も参考にしてみてください。
【執筆者】
雜賀匡史(さいがケアファルマ合同会社 代表・薬剤師・介護支援専門員)
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更新日:2022年4月1日